時はさかのぼること2009年頃のこと。
当時、世の中はリーマンショックの影響をモロに受けて業績が悪化している中、
私の会社は順調そのもの、むしろリーマンショック前より好調でした。
これに気をよくした私は、それまで一人しかいなかった事務員を二人にしようと、
面接をすることに決めました。
もともといた事務員は、何かと理由をつけて休みがちで、ミスも多い。
もう一人入れたら、競争原理が働いて、もっと頑張るんじゃないかと。
会社の人数が増えると、こなせる仕事量も増えて、売上や利益も
増えるんじゃない?というわけです。
大量の求人希望
2万円くらいで地方新聞に求人の広告を出した数日後。
面接希望のメール、電話が50件ほど。
1人の事務員募集でこんなに?というほど多く問い合わせをもらったことに
気を良くした私は、そのうち10名ほどに絞って面接をすることに。
やたら高学歴な人から、面接とは思えないセクシーな服を着た人。
こんなセクシーな格好をして面接に来るくらいだから、よほど自信があって
天才タイプなんじゃないか、と一瞬思ったものの、
「ここは手堅く、真面目そうな人を選ぼう」
と意外と小心者の一面を発揮し、25歳くらいの無口で真面目そうな女性を採用。
経営者の無知が招いた結果
その結果。
もともといた事務員と新しく入った事務員が仲良く一緒に遊ぶことに。
なおかつ新人の教育に時間も費用も取られるため、まったく良いところがなく、
数か月後には新人、そのまた数か月後にもといた事務員も辞めていきました。
少なく見積もっても数十万円の費用という名のマイナスを残して。
敗因:売り上げが昇り調子だからと、よく考えもせず採用したこと。
従業員一人当たりのコストは、少なく見積もっても給料の2倍
(そのうちダメな従業員が会社に与えるダメージは給料の15倍)
給料以外にも、
社会保険料
福利厚生費
事務用品代
発注ミスした部品代
だけでなく、
会社の業務を教える人の時間給
採用にかかる費用
突然休んだ時の代替要員の費用
などなど。細かく考えるともっとありますが、
これだけでも数十万円の出費になります。
業種にもよりますが、仮に月給20万円としても、2倍の40万円が
毎月出ていくことになります。
しかも通常新人が能力を発揮し始めるのにかかる年数は3年とも言われているので、
40万円×36ヶ月=1440万円
もかかってしまいます。
こんな予算があるなら、もっと安い金額で外注ができないか考えるべきでした。
以前の私を含めて、なぜか日本の企業は、採用は簡単に、解雇はじっくりだらだらに
なってしまっています。
しかもこれは普通のレベルの従業員の話で、ダメな従業員になると、
サボる
ダメな雰囲気が他の社員にも伝染する
顧客に悪印象を与える
致命的なミスをする(何度も)
という有様で、研究によると少なく見積もっても給料の15倍のダメージを
会社に与えるそうです。
おそらく経営者であれば、これはあながち間違っていない数字だと感じると思います。
特に最近ではVA(バーチャル・アシスタント)のようなサービスも含めて、
ニッチでマニアックなサービスがたくさんあります。
しかも安い!
ニューエコノミーと言われる時代。
外注できるものは外注して、コアとなる外注できない仕事に社内のパワーを集中して
強い事業を作っていきたいものです。
外注して浮いた予算は全部マーケティングと顧客に投入で決まりです。
二人の事務員が辞めた後日談
事務員がしばらくいない期間が数か月あったものの、特に問題なく
運営できることが判明。
ソフトウェアを導入したり、事務処理を徹底的に自動化したことによって、
例えば見積書一通作るのに、それまではおよそ10分かかっていたのが、1分くらいに。
急に休まれても、電話番以外でまったく問題なし。
電話番も、それほど緊急の案件はないし、携帯電話も持っているのでOK。
その後入ってきた事務員は、事務処理以外の仕事、顧客管理などの高度な仕事に
時間を使うことができ、事務員自身のキャリアにとっても良い結果となりました。
この事務員が、他の社員と結婚したことはまた別のお話。
めでたし、めでたし。
今回の教訓:雇うときは慎重に、解雇はすばやく。