マーケットだから市場調査?とか顧客のニーズを調べること?と思うかもしれません。
これらはあながち間違ってはいないですが、「マネジメント」で有名なピーター・ドラッカーによると、
「販売を不要にすること」
と言っています。売り込まずともひとりでに売れていくといったところでしょうか。
少し大げさですが、行列のできるラーメン屋さんなどをイメージすると近いかもしれません。
行列を作るために、商品の価値をきちんと伝える、需要から計算して供給量を制限する、
サクラを雇って注目を浴びる、などその方法はたくさんあります。
方法はさておき、いつも行列のできるラーメン屋さんで、値段が高い安いとか、
店の立地が良い悪いとかが問題になることはまずありません。
お客さんが、
「ちょっと高いよ、安くしてよ」
なんていうことはないはずです。
アップル社のiphoneもそうです。
アップルのお店で買った人は分かると思いますが、
「新しく出たiphone、安くなってますよー」
「iphone今なら予約しなくても販売できますよー」
などと八百屋のように言ってくる営業スタッフはいません。
(ド〇モとかソ〇トバンクとかのメーカーではない販売店はこういうこと聞くこともあります)
すでにアップルのお店に来た時点で買うことを決めている人がほとんどです。
値段や仕様についても、店に来る前に知っていて、知らなくても買うことを
決めているか、いずれ買いたいと思っている人ばかりが来ます。
マーケティングを実施する時の具体的な考え方
話を戻して、私たちが顧客から受ける「価格が高い」だの「見積った納期が遅い」という、
販売者側から見た場合「無茶な」要求が起こるには理由があります。
それはすべて商品の内容を相手が理解していないこと、です。
もちろん私たちの製品は、洗剤を買うような気軽な金額であることは少ないため、
相手はいろんなことを検討します。じゃないとすぐ破産します。
- 他の業者はどれくらいの価格で見積もりをするのか
- 本当に商品の品質は大丈夫なのか
- アフターサービスはきちんとしてくれるのか
- 上司はこれで納得するだろうか
など、わからないことが多い分だけ不安も増えてしまいます。
その不安をなくし、自信をもってその購入者が購入に至る決断ができるように
準備することを「マーケティング」と位置づけています。
例えば他の業者の価格が気になる顧客には、自社の商品の価値が、
他の業者の商品の価値よりも優れていることを伝える。
商品の品質に不安を感じている顧客には、商品の品質が優れていることを、
他社の商品と比較したり、過去の商品と比較して伝える。
アフターサービスがきちんとされるか不安に感じている顧客には、
実際どのような方法、期間でアフターサービスが実施されるかを伝える。
上司が納得してくれるかが不安に感じている顧客には、上司を説得できるだけのデータ、
事例をまとめて伝える。
これらはすべてマーケティングです。
横文字がとっつきにくくしていますが、たまたまそれに上手くはまる日本語がないだけです。
(実際、私がお会いする経営者の方の中でも、横文字があまり好きではなさそうだったり、マーケティングという言葉になじみがなさそうな方には「営業支援」という言葉を使っています)
正しくマーケティングを実施すると得られる利点
先ほどの、価格が高い、納期が遅いなんていうことを言われている時点で、
マーケティングがうまくいっていないと言えます。
マーケティングを正しく行うと、
✓自社にとっての優良顧客が増える
✓嫌いな、利益の出ない顧客を排除するように仕組み化できる
✓優良顧客が増えるので、自社の商品が優良顧客のフィードバックによりレベルアップする
✓自社の競争力がつく
✓売上や利益の予測が立てられる
と、良いことばかりです。
それに、顧客が粗悪な製品やサービスを掴まされることを回避させてあげることができます。
マーケティングは「営業」という言葉に本来含まれているはずなのですが、
どうも米つきバッタのようにペコペコ頭を下げて仕事を取ってくる、
なんていうイメージがついてしまっています。
でも実は、全くの逆です。
態度が横柄とかいう意味ではありません。
いつも好成績をあげている営業マンは、このマーケティングに時間と労力を
費やしています。そして、ためらいなく顧客を切ります。
自社に合わない顧客がいかに無意味かをよく知っているためです。
仕事が欲しい時には勇気のいることですが、本当に自社にとって大切な顧客を
逃さないことと、自社の利益を確保するために切るります。
私の知っているスーパー営業マンに、業種を問わず、米つきバッタはいません。
切りまくる侍ばかりです(笑)そんな些細なことで切るの?っていうくらい切りまくります。
でも優良な顧客がいつも列をつくっています。
製品を作るには「質の高い設計図」が必要なことと同様、良いお客さんに集まって
もらう「マーケティング」が必要なんですね。